「好きなお酒から覚えていけば良いんだよ」
探偵バーに入りたての新人の頃、先輩に言われた言葉です。
私は当時20代そこそこで、お酒もようやく飲み始めたばかり。
お酒の微妙な味わいもアルコールに紛れてうまく感じられず、数多あるお酒たちの個性をなかなか覚えることが出来ない日々が続いていました。
図鑑を見て瓶の形や色合いは覚えられても、味が同じように感じられてしまい、お客様の好みに合わせたお酒をお勧めすることが出来ない。
悩んでいた私を見かねて、当時頻繁に入っていた先輩から、先の言葉をかけてくれたのです。
そして私の舌に合わせて、好きそうなカクテルを何種類も作ってくれました。
当時入荷したてだった爽やかなブルーが印象的な「ヒプノティック」を使ったカクテルや、コーヒー好きな私に合わせて「カルーア」を使ったカクテル。
ウイスキー初心者にも飲みやすい紅茶のほのかな風味が特徴的な「マッカラン」、クセの強さが癖になる「アブサン」。
そうして様々なお酒を飲んでみて「このリキュールが入っているカクテルは美味しいと飛びついた率が高い」という結論に至ったのが「ガリアーノ」だったのです。
ガリアーノは華やかな小金色の液体、何よりバニラの香りがとても印象的な、イタリアで作られたリキュールです。
瓶の形は特徴的な背の高い円柱形。
これはイタリアの建築によく見られる「コリント式」をモチーフにしたものです。
アニスやミントをメインに40種類以上の薬草を使っているリキュールで、甘い風味とバニラの香りを生かしてカクテルがつくられることが多いです。
その風味はとても個性的なので、相性の良いお酒は限られてしまいますが、生クリーム・ミルクとの相性は抜群です。
ガリアーノの黄金色が高級感を与える「ゴールデンキャデラック」、オレンジの爽やかさと生クリームで口当たりが滑らかな「ゴールデンドリーム」、その名の通り繊細で滑らかな口当たりの「ホワイトサテン」など、甘いミルク系カクテルの心強いパートナーとして、昔から使われてきました。
その他には見られないような個性と、また酒瓶の並ぶ棚の中でもひときわ背の高いガリアーノは、自身の個性によって、バーではそこまでメジャーなリキュールということではないようです。
「ゴールデンキャデラック」に使われているガリアーノをグリーン・ペパーミント・リキュールにすることによって出来るカクテル「グラスホッパー」の方をご存じの方も多いと思います。
ただ、ガリアーノが入ったカクテルは飲み口が柔らかいものが多く、とろけるような甘さと、クリーミーなくちどけ、そしてふうわりと香るバニラが印象的ですから、アルコールの苦手な女性の方でも楽しんでいただけると思います。
数多ある種類の中から自分の好きなカクテルを探すのは大変ですが、そのカクテルを探すとっかかりとして、「好きなリキュール」を知っていると、バーテンダーがお客様好みのカクテルを提供させていただく一つの指針になると思います。
探偵バーであなたの大好きな一杯を増やしていただけると嬉しいです。
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